見出し画像

社員が語る「システム開発部門の管理職からコンサルタントになるために」

ソフトウェア開発や運用の現場で働くなかで、将来のキャリアプランが見えてこないと悩んでいるエンジニアが多いようです。プロジェクトマネージャーか、技術で勝負するか、あるいは…。選択肢のひとつとして、「コンサルタント」もあるものの、必要とされる技術レベルや経験値、キャリアステップがわかりにくい仕事です。

「ソフトウェアデファインドの技術参謀」として、大手自動車メーカーやOA機器メーカーのコンサルティングを行うエクスモーションは、専門性を武器とするコンサルタントが活躍している会社です。こう聞くと、経験豊富なプロジェクトマネージャーや、ソフトウェアの最先端技術を持つハイエンドのエンジニアがステップアップするものと思われるかもしれません。

しかし、それぞれのコンサルタントにこれまでのキャリアや前職について聞いてみると、多種多様です。彼らはなぜ、コンサルタントになろうと思ったのか。これまで、どんな経験を積んできたのか。エクスモーションの社員に、話を聞いてみましょう。今回、登場するのは、大手自動車メーカー系のサプライヤーから転職して5年目の内田圭さんです。

車載システムに将来性を感じ、初めての転職にチャレンジ

「名古屋の大学からSIerに就職したのは、2004年ですね。最初に携わったプロジェクトが大変だったんです。個人情報保護法が施行されて間もない時期で、開発していた顧客管理システムを法改正に対応させるべく、作り直す仕事をしていました」

学生時代に、携帯電話に関するコミュニティサイトを立ち上げ、起業を考えていたという内田さん。社会人経験があったほうがいいと思い直して選んだSIerで、入社してすぐに難易度の高いプロジェクトにチャレンジすることになりました。

上司は複数の委託先の進捗管理に追われ、相談できる時間もあまりなく、それまで全く開発経験のないCOBOLプログラムを毎日7~8本レビューする日々。終電に間に合わず、タクシーで帰る日が続いた時期もあったそうです。しかし3年目になると、こうした状況も落ち着きました。他部署のプロジェクトにも時折参画しながら、さまざまな言語や設計・開発手法を習得できたのが収穫だったといいます。

この会社で、最後に携わったプロジェクトが自らの将来を考えるきっかけとなりました。車の故障診断サービスのシステム構築を手がけ、車載のシステムに将来性を感じた内田さんは、在籍していた友人からのオファーもあり、2011年に自動車の車両組み立てや電子部品・機器などを生産する前職の会社に転職しました。

今までの経験が誰かの役に立つ仕事に惹かれて

「組込みエンジニアとしてのキャリアはここからでした。最初はSIerでの開発経験に基づき、組込み開発プロセスの刷新を図りつつ、CAN通信の信頼性評価の効率化などを行いました。その後は自動車向けECUの先行開発から量産開発までを一貫して手がけています。当時、自動車向けECUの量産はやっていなかったので、事業立ち上げですね」

「これがうまくいって、プロジェクトメンバーの多くが昇進しました。私も主任から課長職になり、派生開発や自動車メーカーのモデルベース開発の再構築などを客先常駐で経験させてもらいました」

このまま管理職で働くという選択肢もありながら、大きな仕事をやり遂げた達成感が強く、違うフィールドで経験を活かしたいという思いが募ったという内田さん。エクスモーションの面接を受けたのは、2019年の暮れでした。

「システムテストの効率化や自動化を図る製品を自社で導入し、そのノウハウを伝える社外講演をしたのが、コンサルタントという仕事に興味を持つきっかけでした。製造元の会社の方々に、いい取り組みだねといってもらえたり、参加者から質問を受けたりしているうちに、自分の経験を還元することで、世の中に貢献できることがうれしいと思うようになりました」

いくつかのコンサルティング企業のなかからエクスモーションを選んだのは、これまでの経験を最も活かせる場だったからです。「メーカーの中のマネージャではなく、コンサルタントという立場でより多くのお客様の役に立ちたい」という目標が明確にあった内田さんは、シニアエンジニアとして入社後、1年でコンサルタントとしてプロジェクトを担当することになりました。

エクスモーションでコンサルタントになるためには、エンジニアとして入社した後、「コンサルチャレンジ」という制度で実績や能力を評価したうえで昇格するというプロセスがあります。

「これまでの開発やプロジェクトマネジメントの経験と、企画力・提案力なども加味して、コンサルタントを任せても大丈夫と評価されたのだと思います。エンタープライズ系の業務システムや基幹システムと、組込みシステムを両方知っているのは強みになると考えて転職したので、今のところは時代の流れを読んだ通りになっています。さらに、エクスモーションに入ってからはAWSやAzureといったクラウド、さらには生成AIを学んでいます。」

コンサルタントとして大事なこと

内田さんの自己評価を聞くと、多くのプロジェクトで人と関わってきた経験や、管理職として考えてきたことが反映されているようです。自らの志向は「お客様と仕事する・飲む」「教えることで自分も教わる」「チームプレーで1+1を3にする」「人を育てる・焚きつける」。自社の業績を高める管理職も、お客様の事業に貢献するコンサルタントも、人をうまく動かすのは大事なミッションです。

特性を挙げると、「ゼロイチ作り」「現実主義>理想主義」「目的がないと勉強しない」。これについては、「プロジェクトを推進するために必要な学習には貪欲」といっています。仕事におけるモットーは、「技術を手足のように扱えるプロでありたい」「ひとり社長の精神・意思決定から逃げない」など。意思決定しないことが、最も大きな損失と考えているそうです。

こうして見ると、管理職とコンサルタントにはさまざまな共通項があるようです。ただしコンサルタントは、顧客理解・業界理解や技術・知見への信頼、提案力や説得力が求められます。社内政治やキャラクターが使えない場で、プロジェクト全体や個々のタスクをうまく進めるためには、常に新たなインプットが必要になります。

「エクスモーションに入社してからも、他の社員があまりやらない領域をやってきた」「エクスモーションがこれまでやってこなかった案件やテーマも、意図的にやったりしている」という内田さん。インプットを大事にしている理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

「誰かに何かをやってもらうとき、その人にどういうイメージを持ってもらえるかがすごく大事ですよね。それは、自分の解像度を超えるレベルでは絶対に伝えられないんです。だから自分が率先してやる、そしてそれをきちんと言語化できるまで理解するというのが理由のひとつです」

「目的さえあれば、何でも学べるタイプなので、参画プロジェクトの変遷にアジャストして数多くのプログラミング言語やシステムを経験したまでです。そして、関わったプロジェクトの数だけ、上司やお客様を見てきました。これも私のマネジメント手法のインプットなのかもしれません」

2023年11月に立ち上げた「CoBrain(コブレイン)」は、生成AIを活用した要件定義支援サービス。アジャイル開発のプロジェクトを立ち上げた内田さんは、実働4ヵ月というスピーディーな開発でリリースに漕ぎ着けています。

システムエンジニアから、あるいは管理職からコンサルタントになるために最も大事なことは、「お客様の役に立ちたい」「仲間や部下が納得して動けるようにしてあげたい」「目的のために必要な技術や情報はすぐにインプットしたい」といった顧客志向やチームプレー志向、行動力なのでしょう。開発現場の経験が豊富な内田さんは、「コンサルタントの仕事には、SIerやメーカーのエンジニアとは違うおもしろさがある」といっています。

「メーカーでの開発は、量産まで5年弱とかなりの長期戦でした。そこで得るものも多かったのですが、コンサルタントになってからはさまざまな案件を1~2年のスパンで経験できています。業界動向を肌身で感じながら、成長する機会を得られている実感があります」

チームで連携しながら大きな仕事を成し遂げたい、ゴールやプロセスを共有しながら成果を挙げたいという志向がある人にとって、「コンサルタントになる」という目標は、思ったより高いハードルではないのかもしれません。