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エクスモーションが大手自動車メーカーに頼られる理由

「組込みソフトウェアの技術参謀」。エクスモーションは、2008年の設立以来、自動車業界や家電業界のソフトウェア開発のコンサルティングや人材育成サポートを手がけています。取引先を見ると、トヨタ自動車、日産自動車、本田技術研究所、SUBARU、三菱自動車、いすゞ自動車、デンソー、日本精工など、業界大手といわれる錚々たる顔ぶれが揃っています。

社員数100人に満たない中小企業が、世界的な技術競争を繰り広げる企業のコンサルティングを続けられるのはなぜでしょうか。その理由を探るために、2008年9月の設立時に立ち戻ってみました。エクスモーションがめざすもの、大事にしてきたことを知るには、立ち上げに参加した人に話を聞くのが早そうです。

いわゆる創業メンバーは13人です。2007年の年末に、ソルクシーズの長尾社長(現会長)と渡辺社長が出会って、組込み分野に特化したソフトウェア開発のコンサルティングをやる会社を創ろうという話になりました。当初のメンバーは、組込みソフトウェアを専門とするコンサルタントと技術者ばかりでした。ソフトウェアが重要や役割を担う時代が来るという未来予測に共感して集まった人たちです

そう語るのは、設立当初から渡辺社長とともに経営を担ってきた常務取締役の芳村美紀さん。ソフトウェア業界では名前が知られていた渡辺社長の求心力によって専門人材が集まったこと、この業界の未来予測ができていたことが今につながっているといいます。

最大の強みは、ソフトウェアの本質を理解していること

当時はまだ、2000年代前半にトレンドとなったオブジェクト指向とUMLが主流だったのですが、渡辺社長は既にモデルベース開発(MBD)に着目していて、自動車業界で注目されているといっていました。さらに、設立メンバーの一人にSPLの専門家がいたので、早々にサービスとして立ち上げ、またツール開発が得意なメンバーが先行してmtrip(エムトリップ)やeXquto(エクスキュート)などのツール開発も手がけることにしました

家電やOA機器などの分野と比べると、ソフトウェアがそれほど重視されていなかった自動車業界の動向・ニーズや、技術のトレンドが見えていたことが、スムーズな立ち上げにつながりました。そしてもうひとつ、エクスモーションが当初から強みにしていたのは、「ソフトウェアの開発技術の本質を理解していること」だったそうです。

最新のプログラミング言語や開発環境、新しいプラットフォームの構築ができますといっても、新たな技術に取って代わられると強みではなくなってしまいます。私たちは、個々の要素技術ではなく、普遍的なソフトウェア工学の知見(開発技術)を武器にしています。自動車や家電、医療機器の業界のニーズが変わっても、ソフトウェア開発技術の本質は変わらないので、トレンドに振り回されることなくクオリティの高いサービスを提供できるのです

ソフトウェア開発技術の本質と進化を捉えていると、新たな技術や考え方の流行や陳腐化でサービスの提供価値が変わることはなく、常に先読みをしながらお客様に提案し続けることができます。渡辺社長と設立メンバーが大事にしてきたことは、長きにわたってお客様に信頼される大きな理由になっているのです。

エクスモーションが大事にしたいことを言語化

設立以降、順調に業績を伸ばしていたエクスモーションは、2年目からエンジニア採用をスタート。より多くのお客様に総合的なサービスを提供できるよう、ハイレベルの技術と知見を備えた人材の育成を強化していきます。

中途採用は経験者に特化していたため、しばらくは人材不足が課題となっていたのですが、2012年からエンジニアが続々と入社するようになっていました。売上における自動車業界のシェアが急激に高まっていた時期です。

メーカーにいると、自社の製品・サービスに関連する開発しかできないのが基本ですが、エクスモーションは自由な社風で、やりたいことができそうな期待感があるのだと思います

設立メンバーが個々の力量で顧客を増やしていた時期が終わり、新たな人材が増えてくると、今後の方向性や大事にしたいことを明確にしていく必要が生じました。

「エクスモーションがめざすものを言語化しないと、設立メンバーが大事にしてきたことが伝えられず、受け継いでいくメンバーも何をめざしてがんばればいいのかがわからなくなります」。議論が始まったのは、2012年の冬。経営側がトップダウンで決めるのではなく、現場を知るメンバーが自らの言葉で語れるものを作ろうとしたといいます。当時のメンバーが導き出した「エクスモーションが大事にしたいこと」を紹介しましょう。

エクスモーションとして伝えていきたい大事なこととは…

お客様に対し、サービス精神を忘れず、コミュニケーションを大切にして、責任を持ってゴールを目指し、ソリューションを提供することであり、善意のよそ者としてザビエルのようにお客様の文化の中に新しい風を吹き込む役目ももっているということです。

そのためには、好奇心を持って学び、得意分野の引き出しを多く持ち、それらを柔軟に活用していくことが必要です。

「善意のよそ者」。お客様を理解しながらも、お客様と一緒になってはいけない。村に住む人々にキリストの教えを説いた宣教師のように、常に新たな視点やアイデアを吹き込む「よそ者」でありたいという思いが込められた言葉です。

エクスモーションが頼られる3つの強み

エクスモーションとして伝えていきたい大事なこと」を明確にするとそれを元に芳村さんは行動指針と必要な能力・スキルも明示しました。問題発見・問題解決、論理思考・整理整頓、ゴール思考、ソフトウェア工学、要素技術・ドメイン知識、サービス精神、責任感…。お客様より先に、速く、自分たちが進化し続けるためには、傾聴力や知的好奇心も求められます。

エクスモーションの設立から16年。自動車業界をはじめ、日本の製造業は想像以上にソフトウェア開発のニーズが高まり、開発環境の改善や技術者の育成が急務となっています。ソフトウェアに関する幅広い知見と本質的な理解、最先端の技術と開発のノウハウ、「善意のよそ者」ならではのサービスマインドと先進性。3つの強みを持つスペシャリスト集団は、これまで以上に大手企業に頼られる存在として、新たな価値を提案し続けています。

現在は、エクスモーション3.0と名付けた次なる指針を創ろうとしているところです。このプロジェクトは、前出の『伝えていきたい大事なこと』を作ったときは若手だった社員や、近年入社した次世代を担う社員が主体的に動かしています。社員全員が会社を動かす当事者となって、率直に意見を出せるのもエクスモーションらしさといえるのではないでしょうか。これまで継承してきた大事なことを残しつつ、未来を見据えた新しいものが生まれるのではないかと期待しています

これまでにないアイデアを自由に発信できるカルチャーや、技術者へのリスペクトを大事にしながら、エクスモーションはさらなる進化を遂げようとしています。

-- ライター/Mr.Exm --

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